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弱点は強みを築く障害にもなる

ストレングス・ファインダーのテストを行って自分の資質を知ったところで、何の障害もなくその資質を活かした仕事、生活ができるわけではないでしょう。

在籍している企業の方針が原因していることも考えられますが、それよりも本人の意思が問題であることが多いと思います。

自分の強み、資質に対して積極的になれないのです。

そして逆に自分の弱点を克服することに積極的に取り組もうとします。

ギャラップ社が、自分自身を成長させるのに強みを知ることと弱点を知ることのどちらに重点を置くかというような調査を実施したところ、世界の全人口の大多数は強みを深く理解することで自分が成長することができるとは考えていないという結果が出ました。

アメリカ人、イギリス人、フランス人、カナダ人、日本人、中国人、その他の国のさまざまな年齢層、さまざまな学歴の人、貧しい人、富んだ人などを対象に行った調査です。

そして中でも日本と中国は、強みに対する注目度が最も低かったようです。

どうしてこうも強みに重きを置こうとしない人が多いのか、どうしてこれほど弱点にとらわれてしまうのか、という疑問の答えは人によってさまざまでしょうけれども、その根底にあるのは弱点に対して、失敗に対して、真の自分に対しての恐怖心ではないでしょうか。

弱点に対する恐怖心から自分の強みに自信が持てなくなる、というのはよくあることです。

たとえば販売という分野で秀でている人が、戦略という分野が苦手だとしたら、その人は販売の腕が優れているにもかかわらず戦略的思考ができないがために失敗するのではないかと恐れています。

顧客との信頼関係を築くのが得意なのにプレゼンテーションが苦手だという人は、スピーチが上手くなるような講座に通うなどして苦手分野の克服にエネルギーを費やします。

成功するためには演説能力が必要だと思っているからです。

彼らの考え方は、強みはただの強みであって賞賛されることはあってもすぐに当然のものと思われるようになるもので、向上する可能性があるのは弱点であり、弱点は克服すべきものだということです。

このような考え方は、現代の教育やしつけやさまざまな研究にも深く根付いています。

大人は子どもに対して、成績の良かった科目よりも成績の悪かった科目の学習に時間を割くように指導します。

心理学や精神医学の世界では、うつ病や精神病に対しては数多くの研究論文が発表されているにもかかわらず、喜びや幸福感、達成感に関する研究論文はその1000分の1に過ぎません。

病気に目を向けるあまりに健康の価値を理解することがおろそかになっています。

確かに、弱点に厳しい目を向けて克服しようとする努力も時には必要です。

けれどもその努力は、失敗を回避する助けにはなったとしても、優れた成果を収める助けにはなりません。

1930年代、著名な思想家および心理学者であるカール・ユングは、批判のことを「何かを破壊したり、打破したり、屈服させたりするときには有益な力を持つが、何かを築こうとするときには害にしかならない」と言っています。

失敗に対する恐怖も、弱点に対する恐怖と同様で、普遍的に持っている感情でしょう。

失敗への恐怖心から、できる限り危険を冒さない道を選ぶ人が多いのでしょう。

失敗には、さほど挫折感がなく立て直しが効く失敗と、受け入れがたく乗り越えにくい失敗の2種類があります。

そして乗り越えにくい失敗、ダメージの大きい失敗というのは、強みを活かした分野での失敗で、この失敗には自暴自棄の感情や人々の嘲りがつきまといます。

この恐怖を避けたいために、多くの人はあえて強みを全面に押し出すことをせず、弱点を繕う作業に没頭するのです。

しかしながらこれらの恐怖心には打ち勝つべきです。

弱点におびえてひたすら弱点を繕う作業をしていれば、周りは勤勉で謙虚な人だと評価するかもしれません。

けれども強みに目を向けず弱点ばかりに神経を注ぐのは、勤勉なことでも謙虚なことでもなく、むしろ強みを活かすというやり甲斐のある分野に対して学習、実行、研鑽をすることが責任の重い、尊敬に値する行為だと思います。

成果というのは情け容赦のないもので、自身の資質を特定して強みに育て上げたのに思いどおりの成果が得られないことも当然あり得ます。失敗することもあるでしょう。

けれども失敗もまた学習の機会と思うことです。

そして失敗から学んだことを次に、さらにその次にも活かせばいいのです。

失敗を重ねるたびに落胆は大きくなるでしょうけれども、それでも学ぶべきことはあるのです。

強みを築き上げる過程では、めざましい進歩が見られることもあれば、失敗して後退することもあるでしょう。

その過程は実行、学習、研鑽の繰り返しで、強固な人生というのはこのような一進一退を繰り返した果てに築かれるものなのです。

時にはもどかしさを感じることや自暴自棄になることもあるかもしれませんが、なんらかの影響で強みから引き離されそうになっても、強みを探り続けるのをやめないことが何よりも大切です。

強みを築くうえでの障害として考えられるのは、弱点や失敗に対する恐怖の他に、真の自分に対する恐怖があります。

真の自分に対する恐怖は、弱点や失敗に対する恐怖のようにネガティブなものではありません。

自己探求をしたところでほとんど何も見つからないに決まっているという恐怖です。

この恐怖心のために強みを活かすということをやめてしまったら、強みは永久に成果を出せないでしょう。

強みというのはあまりにも身近な存在なので、当人にはその価値がわからないことが多いものです。

無意識に行っていて、価値があると気づいていないのです。

強みを意識しない間は気がつかなくて当然なのですが、自分の強みが明らかになったらそれは自分にしかできない強みであると理解し、他の人より秀でた存在になれるということを自覚して、真の強みとして築き上げてください。


odaatsushi: