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経営の原則(5) 自治体との協働

経営の原則(5) 自治体との協働

自治体との協働

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NPOビジネスには、一般企業とは異なる分野の経営原則があります。

その1つが異質の機関・事業体との協働(コラボレーション)で、自治体や企業、労働組合が対象となります。

まず自治体との協働については、企業ではあまり考えられませんが、NPOビジネス展開では重要な位置を占めますので、これを検討しましょう。

『指定管理者制度』では、自治体が所有、また出資している施設の管理を民間に委託できますが、この制度を活用するとNPOビジネスの拠点ができるわけで、大いに進出していくべきでしょう。

今や公益は行政だけが代表するのではなく、市民が作り出して担う時代です。

では、行政と民間の協働はどのように構想されなければならないのでしょうか。

最も恐れるべきことは、自治体の子分になってしまう、あるいは言いなりになってしまうことです。

変わってきているとはいえ、自治体はまだ『お上』の発想で、『下々』として私たちを見ています。

事に事業の受託をしようとする民間事業体は、顎で使う存在です。

このことがどのような現象になっているかというと、自治体の委託事業費の中に占める人件費を見ると理解できます。

酷い場合には、直接経費だけしか出さない(人件費ゼロ)例もあったりします。

ある自治体では会館の管理委託に、年間360日、1日13時間(午前9時~午後10時)の開館とボランティア活動やNPOについての相談業務を義務付けた上で700万円しか支払わないというケースもあります。

この場合、管理に関する時間はのべ4680時間ですから年間1900時間の労働時間としますと、2.46人を配置する必要があります。

常時2人を配置するとしても、約5人を必要とします。

その9割を人件費に支払えるとしても、1人あたり年間126万円しかもらえません。

これで専門的な知識を持った人間による住民サービスが可能でしょうか。

確かに、自治体の仕事をボランティア活動として代行してもよいのですが、一定の専門性と持続性のある事業の受託なのですから、そこで働く人の生活を保障できるようにした上でボランティアの協力を得るようにしなければ、質の高いサービスを提供し続けることはできません。

ですから、自治体職員並とは言いませんが、文化的な生活ができるだけの賃金を試算して 委託費に組み込まなければなりません。

また、事業体の側も「自治体の仕事だから」と安請け合いしないことです。

こうした劣悪な条件で仕事を受ける事業体があると、全体の水準を落としてしまいます。

つまり、自分の団体だけの問題ではなくなってしまうのです。

自治体側にとっても、「安ければよい」というのは間違いでしょう。

委託先の事業体の環境問題への配慮、障害者の雇用率、男女共同参画の実施度などをチェックして行うことが必要でしょう。

アメリカには『リビングウェッジ』という考え方と制度があり、自治体が自主的に決めている前提で「普通に生活できる賃金(最低賃金の2倍以上の金額)」を基本にしています。

以上のことを実現するためには、次のような観点を持っていることが必要です。

(1)相互の自立

自治体との協働ではそれぞれの自立が必要であり、依存しない者同士の連携でなければなりません。

事に行政は力を持っており、民間側が行政のコントロール下に入っての協働では意味がありません。

また、自治体も自己決定能力を磨かなければならないので、いつも国ばかりを見て、その従属物になっているとすれば、自立した者同士の関係を形成できないでしょう。

(2)対等な関係

自治体とNPOビジネスの事業体を比較した場合、一般に事業体は弱い立場にいます。

しかし、小さくても事業体は独立した法人格であるので、その法人格を認め、かつ対等な立場での関係を作ることです。

あくまでも主従関係のような構図を作ってはなりません。

(3)新しい価値の創造

異質同士の組織が協働することによって、新しい価値が生まれるようにしなければなりません。

自治体が民間の事業体に委託する事業が、単に低予算でできるからというレベルでは落第です。

双方の連携により、新しい価値が生まれるような組み立てでなければなりません。

(4)主体性を維持するマネジメント

事業体は自治体が実施する事業、子育て事業でいえば保育園を開設し、経営することもできますし、一時預かりや保育園への送り迎えサービス、また高齢者を要介護状態にしないためのサービスの提供にあたっての事業助成を受けることができます。

これらを活用して事業体として安定的に事業ができるようになればいいのですが、行政や助成団体の受託事業や助成によって、NPOビジネスが成功するのではありません。

こうした事業は単年度の契約が多いですし、また(首長の交代などで)行政の政策転換によって急に廃止されることもありますから、こうしたことを理解して活用することです。

ですから、行政から受託事業が収入の5割を超えることになったら、事業体の主体性を守る観点から見ると危険水域を越えたと見てよいでしょう。


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