NPOビジネス事業体として、経営側の役割にはどういうことがあるでしょうか。
役員会の構成は、次のような分類でそれぞれ役割を果たせる人を配置することです。
(1)ミッションの維持・発展・チェック
NPOビジネスは『お金の価値』だけで動いているわけではなく、多様な価値観の人たちと一緒に活動するわけですから、舵取りが大変です。
その基本方向を間違わないこと、また、時代に合っているかどうかを点検し、高い立場から事業体を発展させる役割を担当する人が必要です。
通常は代表者ですが、その存在と前提として、専門的な研究者がアドバイザー的に役員になってもよいでしょう。
ただし、「大学教授だから」といった肩書き重視で組織運営の責任を任せるのはだめです。
研究と事業は違いますし、研究者は事業体の経営については素人なのですから、失敗の確率が高くなります。
代表や理事長に研究者を置く場合は、その責任の範囲を限定しておくことです。
(2)事業計画と資金対策
情報を把握・分析し、マーケットリサーチを行い、事業計画を立案します。
内容は、対象のマーケットにおいてほかでは提供できない特徴あるものを作り出します。
そして、この部門は資金確保と資金繰りを合わせて計画しなければなりません。
この役員は事業体の戦略部門を担当していることになります。
例えば、最初は日銭を稼げる分野からスタートし、その事業を推進することによって人材の確保と資金を作ってから本来やりたかった事業に取り組むこともよくあります。
こうした計算と展開ができる能力を持った人物が役員会には必要なのです。
(3)事業推進
事案を具体化し、推進することを担当する役員です。
少ない人員、もの、お金などを最大限に有効活用し、商品・サービスの質・量の良いものを作り出し、販売もしっかり行うということです。
流れを管理し、推進する役割を担うのです。
この分野は、小規模の事業体ではサービス提供や商品生産の第1線に立って指揮できるタイプを当てるべきでしょう。
(4)第3の顧客対策
NPOビジネスには、事業に直接携わる人だけではなく、幅広い支援者がいます。
この支援者とは、自治体や企業、労働組合、地域社会での有力者、あるいはマスコミなどです。
このような人々には、事業体の活動内容や現状を会報や、メールマガジン、ブログなどで定期的に知らせ、そして情報提供を受けたり、特定のことを依頼するわけです。
こうしたことをスムーズに行うためには、相手のことを理解した上で、当事者である事業体の課題をしっかり売り込む能力が必要です。
中心的な役員が日常的な業務で忙しい時に、非専従の役員が1歩離れた感覚でこうした分野を担当すると意味があります。
(5)ネットワーク
NPOビジネスは企業の規模でいえば零細か小企業です。
総合的なサービスができる規模ではないので、専門的に特化しなければならないでしょう。
そうした小規模で人間的な生活を応援しようとすれば、ほかの事業体との組み合わせが必要になります。
また、自らのソフト(知恵による事業。
実際に目には見えないが、事業になること)を蓄積や情報収集について同業者のネットワークに頼ることも必要です。
こうした分野は、丁寧に目配りをする担当者が必要です。
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